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解剖 2009


2009年5月後半、数名のインストラクター、20名の生徒そして記録者が、解剖のためにコロラド州ウェストミンスターに集まった。生徒のほとんどはKMIの卒業生達だったが、その他のストラクチュアルインテグレーションのプラクティショナーをはじめ、ヨガのインストラクター、ピラティスのインストラクター、そして心臓音波検査技師といった、その他の職業の人々も参加。

この解剖のためのラボは、卓越したフォーカス、思いやり、そして技術をもつ彼、トッド・ガルシアによって運営されている。

このイベントは、KMIのプラクティショナー、デビッド・レゾンダック(隣に写っているのはKMIの学生ジェニー・オットー・スチュアート)により記録された。


2009年末までには、この解剖のすべてを網羅した新しいDVDの公開を期待していて欲しい。

SIプラクティショナーのエリック・ルートは、様々なレベルの筋膜組織を顕微鏡により撮影することに、この1週間を費やしていた。

この作業は、最初、恐ろしくて不快なことのように思えるが(そして、実際にそうなのだが)参加者は、すぐに、まるで伝染病に感染したかのように、学ぶということに感染してしまう。そして、教育のために自らの身体を提供してくれたドナーに対してつつましやかな思いを感じることとなる。このような素晴らしい機会を無駄にするのは、あまりにももったいない。参加者達は、この1週間を通して、ドナーを人として知っていくようにもなる。傷跡や姿勢のパターンをはじめとした多くのディテールが、徐々にこのドナーがどんな人であったのか、またどのような人生を送っていたのかということを解き明かしてくれるのである。

当然のことながら、解剖に参加した私達は皆、筋膜組織に関心を持っている。生徒達が解剖実習するための防腐処理を施された検体が二体、そして一体の“新鮮な組織”と呼ばれる、死亡直後に冷凍され、我々の解剖のために解凍された検体(しかし、この時点でも大理石のように冷たい。。。変な感じである。。。)が用意される。法律的な理由によりトッドのみが、この冷凍保存の検体の解剖を許されている。防腐処理をされた検体は取り扱い易く、位置関係の詳細も分かり易い。しかし、筋膜の状態を比べてみると、生きている私達の筋膜が庭に繁殖している、生きた豆だとすれば、冷凍保存の検体の筋膜は、冷凍された豆のような感じ、そして防腐処理をされた検体の筋膜は、缶詰の豆のような感じである。

今回の解剖の目的は、筋膜のみでなく、アナトミートレインズの筋筋膜経線をあらわにすることである。
例えば、ここにあるのが、スーパーフィシャルバックライン。爪先から(写真左手が足底筋膜)から鼻まで(写真右手、頭外被の頭皮筋膜)をひとつの繋がったラインとして解剖したもの。

今年の解剖における興味深い発明のひとつとして、私達はラインの検体物の深部(つまり裏側)を撮影したということがあげられる。この写真で見られるのは、スーパーフィシャルバックラインの最も骨に近いサイドである。

そしてこの写真では、良く忘れられがちな足底筋の腱(私の意見としてはアキレス腱の緊張の調節に働く筋肉)をヒラメ筋と腓腹筋の間に見ることができる。

生徒達の何人かが(ジェフ・マハディーン、ジェラルド・ベイジル、ジャッキー・ウェイダ)腹直筋から胸部を通って胸鎖乳突筋までを美しく繋ぐ(スーパーフィシャルフロントライン上部)強い胸骨筋を発見。今までの解剖では、胸骨筋が存在しない、胸骨筋膜が狭い、弱い等の理由で、このラインがレースのようにボロボロになってしまい、私自身このラインを繋げて取り出すことに困難を体験し続け、アナトミートレインズの第二版ではこのポジションを記載しないことにした。そして、その第二版が出版されてから何ヶ月か経過した今、私自身が最初に仮定した考えの素晴らしい例が、ここにようやく姿を現した、というのは皮肉ではないだろうか?

今回、冷凍保存の検体では、私達はスーパーフィシャルフロントラインの上部を、近位の大胸筋、及び大胸筋筋膜を残しておく、という、今までとは異なった方法で解剖した。これは、アナトミートレインズの条件に照らし合わせたとき、ほとんどの繊維はメインとなるスーパーフィシャルフロントラインに対して、斜めに走っているはずである、という法則に逆らった、違法ともいえる方法である。

しかし、なんと驚くことに、この検体物を裏返したとき、胸筋膜の裏側をまるで腹直筋から胸鎖乳突筋まで繋げる胸骨筋のように、縦方向に強く流れる繊維が存在していたのである。

私の今のお気に入りのイメージのひとつとして、”まるで腕が鳥の翼のように”というのがあるが、この写真で見ることができるのは、この翼を上から見下ろしている図=スーパーフィシャルバックアームラインである。僧帽筋は、両側共に存在しているが、ラインのその他の構造は右側のみが切り取られている。

そして、これは足の内側アーチ(写真左)から、顎へと繋がるコウモリの耳のような側頭筋(写真右)のディープフロントライン。この他に類を見ない素晴らしい検体物は、秀逸なトッドの貢献の賜物である。この検体物の詳細を収録したビデオは、近日DVDにて入手可能となるであろう。

最後に冷凍保存の検体から取り出した全てのラインをすべて床に並べた。この注目に値するイベントをフィルムに収める ためのセットアップである。 全てのラインがここに:写真左端から順に、二つのフロントアームライン、スーパーフィシャルフロントライン、ディープフロ ントライン、スーパーフィシャルバックライン、そしてバックファンクショナルライン、スパイラルラインの一部、右端は二つ のバックアームライン。